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【ワダサカ論】vol.13

Vol.13 アマチュアリーグの意義

 

前回のコラムでは、結果的にJFL(日本フットボールリーグ)のしんどさをお伝えすることになりましたが、実際にはポジティブな面もたくさんあります。JFLだけでなくアマチュアサッカー全般に対してもっと多くのサッカーファンに興味を持ってほしいと思っています。

 

JFLには、前回お話ししたように異なる目的を持つチームが混在しています。Honda FCを筆頭とするJリーグ加盟を目指さない企業チームは、サッカーよりも仕事優先の中、限られた時間と戦力でプレーしています。同じ会社で長時間共に働く人たちの集まりですから、会社ならびにチームに対する帰属意識は高いです。そのため時間を掛けてチームが作れる上に選手の入れ替わりも少ないので、チームワークも良く、戦術的にレベルの高いチームが多い印象です。

一方、Jリーグ加盟を目指すアマチュアチームにはJリーグ経験者も多く、選手個々の質は高いです。例えば昨年のFC今治には、橋本英雄(ガンバ大阪で長らく活躍)選手、駒野友一(広島や磐田で活躍。南アフリカW杯に出場)選手という元日本代表選手もいました。

ただアマチュアチームは、チームとしての歴史が浅いため、クラブ全体の組織が整備されておらず、クラブとしては発展途上なところも多い印象です。

あとは大学生チームである流通経済大学ドラゴンズ龍ヶ崎が長い間JFLでプレーしました(残念ながら昨年関東リーグへ降格しましたが)。私がMIOびわこ草津(MIOびわこ滋賀)の監督をしていた当時は、現在浦和レッズで活躍しているFW武藤雄樹選手が流通経済大学の選手としてJFLに出場していました。大学生の目指すところは学生リーグ、そこからのJリーグだと思いますが、学生の頃からJFLに出場する経験もきっとプラスになると思います。

大学生チームは若く、よく走り、技術・能力も高いですが、若さ故なのか結果に結びつかない印象が強いです。2016年のJFL 1stステージは、流通経済大学ドラゴンズ龍ヶ崎が企業チームやJリーグ加盟を目指すチームに勝利を重ね、ステージ優勝を果たしましたが、その時以外は、個々の能力の高さが結果に反映されないシーズンが多かったように思います。

 

JFLは、プレーの質を見るとHonda FCのようにJリーグクラブと比較してもチーム力としては遜色無いチームもありますが、全体的にはロングボールを主体として戦うチームが多いリーグだと思います。決して技術的に優れているとは言えませんがプレーの激しさ、強さはありますし、ある意味サッカーの原点、つまり両ゴール前のプレー頻度は高く、単純な面白さは感じられると思います。

また、サポーターとの距離が非常に近いのもアマチュアリーグの良いところだと思います。

試合後に選手が外へ出てきて、サポーターの見送りをするチームも多いです。警備員もいないので競技場のすぐ外で選手やスタッフと話すこともできます。地域貢献活動としてサッカースクールを行っているチームも多く、その場合は選手がスクールコーチとなる場合がほとんどです。

子供たちにとって、一緒にボールを蹴っているコーチが、選手としてプレーする姿を見ることができる環境というのは、常に身近に選手という目標がいる素晴らしい環境だと思います。

それはJFLだけでなく、地域リーグも同様だと思います。

 

アマチュアカテゴリーのチーム認知度が上がり、子供たちがそこでプレーしたいと思うようになった時、初めてサッカーが地域に根付いたといえるのではないでしょうか。

その意味でも地域リーグ、JFLの活動というのは非常に重要ですし、もっと盛り上げていくために地域と連携して力を入れなければならないと思います。