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【ワダサカ論】vol.36

Vol.36 高校サッカーの未来を考える

 

 

先週は全国高校サッカー選手権大会の決勝戦を中心に感じたことを書きましたが、今週はこれからの高校サッカーの在り方について私の考えを述べたいと思います。

 

今大会に限らず、最近の高校生のプレーには本当に驚かされます。技術もしっかりしていて戦術的にも昔とは比較にならないくらいレベルが高くなっています。『Jリーグ』というプロリーグができたことによるサッカー全般の地位向上、そして日本に居ても当たり前の様に海外サッカーを見られるようになり、得られる情報が増えたことも育成年代のサッカーのレベルアップに大きく貢献していると思います。また、昔に比べて育成年代のフィジカルも向上し、体格的にも大柄でかつ動ける選手も増えてきました。

 

そしてなんといっても一番の要因は、「指導者の努力」であることを疑う余地はありません。学校の先生でありながら部活動の指導も行うことは簡単ではありません。外部指導者の方も結果が常に求められる中で、高校生の指導をすることは大変だろうと思います。

日本代表選手やJリーガーが、高校サッカー出身の選手が多いことからも高校生を指導する彼らの仕事の質が示されていると思います。世界的にあまり例を見ない「部活動システム」は、これからも日本サッカーを支えていくことと思います。

 

しかし、何事にも改善の余地はあります。それは高校サッカーも例外ではありません。

学校の部活動である以上、簡単に解決できる問題ではありませんが、「移籍」がある程度自由に出来るようになればサッカー界にとって大きなメリットになるのではないでしょうか?

強豪校に選手が集まるのは仕方ないことですが、出場機会の無い生徒が移籍できる環境になれば、高校サッカー全体のレベルは上がり、より良い選手が増えていくのではないでしょうか。試合に出ることで才能が開花する選手もいるはずです。これまではやる気が無いと言われていた選手が、環境を変えることで生まれ変わるかもしれないのです。

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日本ではサッカー界に限らず、環境を変えることよりも環境を変えずに我慢することの方が“評価される”という風潮があります(この方が学校や会社は楽ですから)。自分の可能性を試すためにも、その可能性が埋もれることがないように環境を変えることが難しくない社会であってほしいと思います。

あるいは1つの学校から複数チームの大会エントリーを認めるという形でも良いかもしれません。いずれにせよ試合に出て、自分の能力を発揮する機会を作る努力を我々指導者がしなければなりません。強豪校では100人以上の部員がいて、3年間応援で終わってしまう選手もいるのはあまりに勿体ないと思います。

移籍が可能になると学校の部活動という枠から外れる部分も出てきますが、それくらいの思い切った変化が必要だと考えます。

 

 

今回の選手権でも素晴らしい選手が数多く見られました。彼らがサッカーを続け、成長することと同時に応援に回った選手たちが素晴らしい選手に成長する環境を整えてあげることも、我々指導者がすべき事ではないでしょうか?

より日本にサッカーが根付き、さらにJリーグが盛り上がり、代表チームが世界で活躍するためにも、サッカーに関わる全体のことを考える使命が、我々指導者にはあると思います。