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【ワダサカ論】vol.45

Vol.45 丹羽 大輝選手

 

 

以前のコラム(vol.7参照 )で私がガンバ大阪トップチームコーチをしていた時の話の中で紹介をした丹羽大輝選手が、35歳にしてスペインのチームに移籍しました。

FC東京を退団してから次の所属チームに加入する情報がなかなか出てきませんでしたが、まさかの海外移籍でした。しかもコロナ禍の中、35歳という年齢で海外初挑戦というのがなんとも丹羽選手らしいなと思いました。

以前のコラムで紹介してからだいぶ日にちが経っているので、改めて丹羽選手を紹介したいと思います。

 

彼は、2004年にガンバ大阪ユースからトップチームへ昇格し、徳島ヴォルティス、大宮アルディージャ、アビスパ福岡へレンタル移籍で渡り歩いて、実力と経験値を身につけ、2012年にガンバ大阪へ復帰しました。復帰後はレギュラーとして活躍し、2014年にはガンバ大阪のJ1リーグ優勝と国内三冠達成に大きく貢献し、日本代表にも選ばれました。

私が見てきた選手の中で、彼は持っている才能を活用する術を誰よりも持っていた選手だと言えます。彼より才能に恵まれていながら、彼のような素晴らしいキャリアを築くことができなかった選手はたくさんいます。

彼が長けていたのは、若い時から自分で“考えて行動できる”選手だったということです。チームの全体練習が終わってからの自主練習はもちろん、おそらく自宅でも何らかのトレーニングをしていたことでしょう。

全体練習後、毎日のように2人で1対1の練習やパス練習をしました。こちらのアドバイスにも真摯に耳を傾け、自分なりに整理をして、日々の練習に臨む姿勢は本当に素晴らしく、こちらとしても学ぶことが多かった選手です。それでもあれほどの素晴らしいキャリアを築くとは正直思いませんでした。

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彼の歩みを振り返ると、今の若い選手達は彼から多くのことを学べると思います。

自分の能力を客観的に把握し、現状をしっかり分析すること。その上で日々の練習に集中して取り組むこと。人のアドバイスをしっかり受け入れて自分なりに深く考える事。そしてなんといっても常に明るく前向きに生きること。

これらの要素が彼を日本代表にまで押し上げたのだと思います。現在JAPANサッカーカレッジに在籍している学生、来年度以降の入学を考えている生徒の皆さんにもぜひ覚えていてほしいことです。

良いサッカー選手になるには、当然技術も必要ですが、「考える力」や「アドバイスを受け入れる素直さ」、上手くいかない時に人のせいにせず「自分ができることを100%やる力」も必要なのです。これは簡単なようで非常に難しいことです。

 

現在、私が監督をしている当校のチームにも精神的に安定したことで大きく成長した選手がいます。プレーするのが人間である以上、その精神状態はパフォーマンスに大きく影響します。

若い選手の皆さんには、技術面や体力面だけでなく“精神面での成長”も必要不可欠なものだということを忘れずに、日々の練習に取り組んでほしいです。

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丹羽選手のように自分の持っている能力を最大限に成長させて、少しでも高いレベルで長くプレーできる選手を1人でも多くJAPANサッカーカレッジから輩出できるように私も含め、スタッフ一丸となって指導していかなければと思っています。