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【ワダサカ論】vol.17

Vol.17 海外挑戦②

 

vol.16では、海外挑戦の厳しい現実をお話しました。今回は私の経験と実際に目の当たりにした『海外挑戦の現状』をお話しします。

 

「ヨーロッパであれば、サッカーの本場なので下部リーグでも環境は良いだろう」と思って行ってみたら練習は週2回、環境は日本で所属していたチームよりはるかに悪い、なんてこともよくあります。ヨーロッパのアマチュアクラブではよくあることですが、そのような状況に不満を持ち、こんなチームでは自分の良さは出ない、移籍したい、となることも多いと思います。結果的に自分で自分の可能性を閉ざして日本に帰ることになります。

選手としてのステップアップを考えるのであれば、このような状況を防ぐためにまずは短期の練習参加から始めるのが良いと思います。まずは、環境、レベル、クラブの雰囲気などを把握し、「良い選手だ、ぜひ我がチームに来てほしい」と言われれば海外挑戦を考えるというスタンスです。これなら、こんなはずではという認識の違いも減るでしょう。何チームかテストを受け、オファーを受けた中から選ぶというやり方です。短期であっても、現地に行くことで本当にその国でやれるのかをしっかり考える材料が手に入り、イメージだけで挑戦するより問題は大きく減ると思います。

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ここまでは選手としてのステップアップのみを目的とした場合の話でしたが、それ以外の目的も持った選手であればよりシンプルに考えることが可能になります。

言葉を学び、サッカー以外の経験を積むことも重視し、現地の生活に溶け込む努力をしてアクシデントも楽しむという姿勢があれば極端な話、どこに飛び込んでいっても大丈夫です。選手として成功しなくても「人としての成長」という大きな財産を手にすることができると思います。指導者の道もあるでしょうし、通訳、代理人、サッカーと全く関係のない分野で海外と日本の懸け橋になるかもしれません。

指導者の立場からすれば、選手としてのチャレンジが一番という思いの人も、サッカー以外のことにも目を向けてほしいと思います。いずれにしても、いつか選手を引退してセカンドキャリアが始まります。そこからの人生の方が長い訳ですから、海外にいる間にサッカー以外のことにもチャレンジすることをオススメします。何がその人の人生を左右したり、役に立つのか分からないですから多くのチャレンジを積んで、活躍できる場を増やしてもらいたいです。

 

海外挑戦は生活面や文化的な違い、言語の問題などでなかなか上手くいかず、イライラすることも多いと思います。まずはその土地になじむことを考えてみてはどうでしょうか?生活が落ち着けばより良いプレーができると思います。良いプレーができればチャンスも増えるし、他のことにも積極的に取り組むことができるでしょう。

例えば進学や引っ越しした時のことを思い出してください。本来のプレーができるまで時間がかかりませんでしたか?学校や新たな生活に慣れてようやく普通にプレーできるようになりませんでしたか?海外であれば適応期間がより長くなるのは当然です。

サッカーだけでなく言語、文化にも興味を持ち、決して慌てないこと。そうして少しずつ前進していく心構えが海外挑戦には必要です。

 

海外挑戦を考えている皆さん、渡航が難しい時期ですが、だからこそ今のうちに海外に行く目的、現地での活動・キャリアプランなどについて時間を掛けてよく考えてほしいと思います。