JSC BLOG ブログ

【ワダサカ論】vol.20

Vol.20 休息・ケアの重要性

 

前回はコンディショントレーニングについて書きましたが、今回は負荷を掛けるのと同じくらい重要な『休息・ケア』について書いていきます。

私が子供の頃のように、休まず倒れるまで練習し続ける時代は既に終わりました。

 

20年前にブランコ・エルスナー氏(故人:オーストリア代表やブランメル仙台で監督を務めた。詳しくはvol.5参照)は、「今後いかに負荷を掛けるかではなく、いかに回復させるかがより重要になる」と言っていました。

現在のサッカー界は以前に比べて試合数が増えただけではなく、選手に求められるプレー強度も高くなっています。スポーツ科学の進歩により選手の能力は向上していますが、それでも良いコンディションで試合に臨むことが以前より難しくなっており、『休息・ケア』の重要性がより高まっています。

高い負荷を掛け続けると、当然怪我のリスクが高くなります。怪我で長期離脱するとトレーニング効果はゼロになり、試合にも出場できません。例えばメッシが6ヶ月間も離脱すると想像してみてください。あれだけゴール、チャンスを作り出せる選手が不在になれば戦力的にも大きく影響するのはもちろん、チケットの売上など経済的損失もかなり大きなものになります。

それだけ怪我による損失が大きいことを指導者はしっかり理解しないといけません。怪我を完全に避けることはできませんが、少しでも減らす努力はしなければなりません。

そのためにも『段階的にトレーニング強度を上げていくこと』、『トレーニング後のクールダウンを必ず行うこと』、さらに『日常生活にも気を付ける』必要があります。

プロ選手の中には練習の2時間前にクラブハウスに来て、入念な準備をしてからトレーニングに臨み、終わってからも個人トレーニング、ストレッチ、マッサージをしてから帰る選手もいます。トレーニングは長くて2時間ですが、休憩やケアなどトレーニング以外の時間をどう使うかがパフォーマンスに大きく影響します。

IMG_0062

長く競技を続けるためには、身体の休息・ケアだけではなく『心のケア』も大切です。毎日のトレーニングにフレッシュな気持ちで臨める生活、環境を整備することも指導者にとって、トレーニングと同じくらい大切なことです。我々指導者も常に変わらなければならないと思います。長時間、常に高強度のトレーニングを行うことのリスクも知っておかなければなりません。

メンタル面で言えば、指導者は厳しいことを言う、時には大声をあげて怒ることもありますが、あくまでそれは『競技面』だけに限られるべきです。

大変残念ですが、最近スポーツ界でもパワハラ問題をよく聞くようになりました。勝つためには厳しいことも言わないといけないという意見を聞くことがありますが、その厳しい言葉が競技面だけに向けられたものかどうかを見なければなりません。ヨーロッパのように選手も指導者に対して同じように言い返して議論できる関係性なら良いですが、そうでないのであれば気を付けなくてはなりません。

 

サッカーは自分で考え、主張することが必要なスポーツです。

その意味でも、日頃から思っていることを対等に伝え合える関係を作っておかなければなりません。

いかなる年代・競技の指導者であっても、スポーツを楽しみ、同時に上達させられる環境を作ることが必要ではないでしょうか?