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【ワダサカ論】vol.23

Vol.23『通訳』の見えない仕事

 

 

通訳シリーズ3回目は、知られざる日々の業務について書こうと思います。

 

 

通訳以外の業務内容はチームによって異なる部分もありますが、どのチームの通訳もピッチ外での業務の方が多いのではないでしょうか。

監督・選手の生活面のサポートですから仕事は24時間体制になり、予測不可能なことが起きるため、ピッチ外の業務の方が難しい仕事です。

まずは来日時の空港への出迎え、チームスタッフへの紹介、各方面へのあいさつ回りがあります。空港ではマスコミ対応がある場合もあります。

通訳にとって、初対面の監督だとこのマスコミ対応が最初の緊張するポイントだと思います。私の場合は、顔なじみの監督ばかりだったので問題ありませんでした。

挨拶の文言というのは非常に訳しにくいものの一つで、直訳するとおかしくなることが多く、公の場での挨拶は特に準備しておいた方がいいです。

 

 

監督や選手の住まいに関してはほとんどのクラブで用意されていますが、ここでも多くの問題が起きます。

例えば、自宅に食器が無いということがありました。ヨーロッパでは家具付きが基本で、食器類も揃っていることがほとんどです。日本ではまず無いですよね。海外と日本の習慣の違いを事前に把握しておくことも必要です。

クラブの問題でもありますが、外国人の受け入れ経験が少ないチームだとありがちです。

 

あと、問題がよく起きたのは家電の使い方。

これは海外の人にとって、かなり難しい問題です。昔の取扱説明書は日本語のみです。みなさんも慣れるまでは何回か取説見ますよね?

日本語のみの取説では読めないので、度々使い方を説明しに行かなければなりませんでした。

日常生活で使う単語って意外と知らないもので、なんと伝えたらいいのか分からず、実はピッチ上より苦労します。

特に洗濯機、調理器具は困りました。

私の時は、全部説明するのは諦めて基本的な使い方だけ伝えました。

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病院に行くこともありますが、身体のことなので本当に緊張します。医学用語は正確に伝えなければなりませんが、簡単なことではありません。

幸い、私は難しい場面に遭遇したことはありませんが、一番緊張する状況だと思います。

普段から万が一を考えて、寝る時も携帯は常に枕元に置いていました。夜遅くに電話が掛かってきて、タクシーの運転手に道案内したこともあります。

 

 

監督や選手の家族が来日する時には迎えに行き、オフの日のために観光地を探し、移動手段やホテルの手配などを行うのも仕事の一つです。

通訳の仕事というのは、外からはあまり見えない地味な仕事です。

人によっては嫌がりますが、監督や選手に気持ち良く生活・仕事をしてもらい、チームの勝利につながるどれも必要な仕事です。

 

 

次回は通訳に求められる能力について書いていこうと思います。