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【ワダサカ論】vol.26
Vol.26 「サッカー文化」とは
ヨーロッパと日本ではサッカーを取り巻く環境に大きな違いがあると言われています。
例えば、イングランドはサッカー発祥の地です。プロサッカーの歴史が100年以上ある訳ですからプロリーグが発足してからまだ約30年の日本と間違いなく違いはあるでしょう。
日本ではまだヨーロッパほどサッカー文化が根付いていないと言われますが、それは確かにあると思います。
競技人口、サッカーに対する投資額、サッカーへの関心、サッカーをプレーする環境など、必ずしも日本が劣っている訳ではないですが、先に挙げた要素は日本ではビジネスの傾向が強くなっており、サッカー文化という意味では、ヨーロッパと大きな差があると感じています。
文化という言葉を調べると「複数名により構成される社会の中で共有される、考え方や価値基準の体系」となっています。
サッカー文化とは、「サッカーに対して日本社会(の構成員)がどのように考え、どのような価値基準を持っているか」という事になります。
その意味で考えるとヨーロッパ諸国とは大きな差があると感じます。
私が留学していたスロベニアでは、一つの町に一つはサッカークラブや総合スポーツクラブがあり、そこには芝生のグラウンドとカフェが必ずあります。選手もそのカフェを利用するので、年配サポーターから時に厳しい意見を言われるなんてこともあります。
スロベニア1部チームの練習場のカフェで、日本サッカーの話で長時間話し込んだこともありましたし、スロベニアのコーチングスクールでの休憩時間には、講師と受講者みんなでカフェに行き、サッカーの話をすることが多かったです。
日本は以前に比べればサッカークラブも増えましたが、一つの町に一つはありませんし、芝生のグラウンドではなく土のグラウンドで活動しているクラブも多いです。
Jリーグクラブでも練習場にカフェがあるという話はあまり聞きませんし、サッカーについて話す場、快適にプレーする場が少ないと感じます。
議論することはサッカーの見方を学ぶことですから、そのような場が日本にももっとできてほしいと思います。
ヨーロッパも日本と同じく週末になるとリーグ戦があり、スタジアムだけでなくバーなどでビールを飲みながら観戦しているといった光景が当たり前のように見られます。イベント感、非日常感は無く、日常生活の一部としてスポーツ観戦があります。
さらにヨーロッパではスポーツをする環境も整っていて、私もスロベニアにいた時は、毎週日曜にフットサルリーグに参加していました。
平日集まってみんなで練習する訳でもなく、参加義務もありません。
日本でもそのような場はあると反論されそうですが、その中身に大きな違い、つまりサッカー文化の差があると思っています。
それはプレーの質です。一般人の集まりなので、技術的なレベルは確かにバラバラですが、戦術理解度が非常に高いのです。
動き方、役割をしっかり理解しているので、知らない者同士が集まって試合をしても一定のレベルのゲームが成立するのです。
つまり、一般人レベルからプレーの考え方、プレーの価値基準が共有されているのです。
私の指導者の友人はこのように言っています。
「その辺のおじさんがプレーしている試合を観ると、その国のサッカーのレベルが分かる」
まさにその通りだと思います。
ここに日本とヨーロッパの一番の違いがあります。
その意味では、日本にサッカー文化はまだ根付いていないと言わざるを得ません。
サッカーに携わる者として、日本でもいつか一般のおじさん達が上手にプレーする日が来ることを願っています。
次回は、日本とヨーロッパのサッカー観の違いがどこから来ているのか、どうすればサッカーが文化として定着するのか私なりの考えを書いていきたいと思います。