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【ワダサカ論】vol.49
Vol.49 佐藤 寿人氏
7月14日水曜日に元日本代表FW佐藤 寿人氏(ジェフ市原―セレッソ大阪―ベガルタ仙台―サンフレッチェ広島―名古屋グランパス―ジェフ千葉。サンフレッチェ広島時代にJ1優勝を3度達成。2012年にはJリーグMVP・得点王・ベストイレブン・フェアプレー個人賞を受賞。2020シーズンを最後に引退)をお招きし、講演会をしていただきました。ここで改めて説明する必要はないと思いますがJリーグ史上初12年連続2桁得点、Jリーグ通算220点という偉大な記録を残した方です。
私は当時ベガルタ仙台で通訳兼コーチをしており、佐藤さんとは2003年8月から2004年シーズン終了まで一緒に仕事をする機会がありました。今回はそのご縁もあり、講師としてお招きしました。
講演会ではプロサッカー選手になるまでのお話、プロ選手として活躍された時代の話を中心に得点シーンの解説、学生との質疑応答など普段なかなか聞くことのできない貴重なお話をしていただきました。
講演会以外にも講演会の前日から来校していただき、サッカー専攻科の学生を対象に90分×3セッションというハードスケジュールにもかかわらず約100人の学生に指導していただきました。昨年までプロサッカー選手として活躍されていた方と一緒に練習をして、アドバイスしてもらえるということはなかなかありません。
特にFWの選手にとっては最高のお手本を目の前で見ることができる貴重な時間でした。動き出すタイミング、動き方、体の向きなどについて一人一人丁寧に指導してくださいました。DF・MFの選手たちにとってもどうすれば止められるか、どのタイミングでパスを出せばよいかなど多くの学びがあったことと思います。
頭では理解できても技術的問題ですぐに実行するのは難しいですが、まずは理解することが重要です。これからのトレーニングで教わったことをたくさんトライしてほしいと思います。
今回の公演では触れませんでしたが、得点以外でも彼は素晴らしい記録を残しています。それは『193試合連続無警告』というものです。
フェアプレーに徹した中で、これだけの得点を挙げてきたことはもっと評価されるべきことです。彼に対してはどのチームも当然厳しくマークします。その中で冷静さを失わず得点を狙う、勝利することだけを考えてきた彼のメンタルの強さは全ての選手の模範となるものです。
アグレッシブさ、激しさはもちろんサッカーをする上で必要ですが、あくまでもコントロールされたものでなければなりません。また、メンタルが不安定だと本来持っている能力を十分に発揮することはできません。
我々育成に関わる指導者は、選手のメンタル面にもっと注意を向ける必要がありますし、激しい正当なプレーと汚いプレーの違いを認識しなければなりません。特に背後からのタックル、足の裏を見せてのプレーに関しては、正しく理解されていない面があると感じています。相手を傷つけるためでなく、より面白いゲームをするためにもメンタル面のコントロールを学ぶことはより一層重要になってきます。
その意味でも選手たちには佐藤さんに教えてもらったことを忘れずに練習に励んでほしいと思います。