【サッカーの続け方】縁の下からチームを救うマネージャー
大川慶介(おおかわ けいすけ)
株式会社鹿島アントラーズFC マネージャー 1992年8月6日生まれ、岩手県出身。選手の道を諦めきれず東京成徳大学からJAPANサッカーカレッジへ。スクールコーチとして鹿島入りし、2018シーズンよりマネージャーとして活躍中。
株式会社鹿島アントラーズFC マネージャー
大川慶介さん
-サッカー歴は?
小学1年から大学、専門学校まで
「小学校1年生から始めて、中学、高校とずっとやっていました。岩手県出身なのですが、教師を目指して千葉の大学に行ったんです。でも、そこでサッカーに対する気持ちが抑えられなくなり、『もう一回勝負しよう』と、JAPANサッカーカレッジ(以下JSC)に行くことにしました」
-JSCで努力したことは?
選手としてサッカーをやり通したこと
「サッカー専攻科で選手としてプレーしながら、栄養学やサッカーに関する様々なことを学びました。寮で生活していたのですが、3階の部屋から目の前のグラウンドが見下ろせたので、毎朝サッカーが見られる最高の環境でした(笑)。自由参加の朝練も全部出ましたし、バランス感覚を養うメニューや補強など、地味な練習もありましたが、それを苦と思わずやり通せたことは自信になりました」
-現職への経緯は?
スクールコーチからマネージャーへ
「JSCではずっと選手を目指していましたが、3年次に日本サッカー協会公認C級コーチの講習を受け、指導者になる道を考えるようになりました。そこでご縁があって、鹿島アントラーズでスクールコーチをやらせていただくことになりました。子どもに指導することの楽しさを実感する2年間でしたが、長年マネージャーをされてきた長石(博之)さんがフロント入りしたことで、僕に声が掛かりました」
-マネージャーの仕事とは?
プロ選手の用具やスパイクの管理
「今シーズン(2018年)、アントラーズのマネージャーは先輩の高田(優二)さん、大川(一樹)さんと僕の3人でやっています。高田さんは遠征時の移動手段やホテルの手配、スケジュール管理など、事務作業をメインでやられていて、僕と先輩の大川さんが主に現場作業になります。プロ選手の用具やスパイク、身の回りのものを管理・ケア・準備する仕事で、試合用のウェア等は大川さんが担当し、僕はできる限りのことを手伝っています」
-1日の具体的な業務内容は?
朝7時から練習に関わるすべての準備
「まず10時の練習前に、朝の7時前からグラウンドの準備を行います。ボールの用意、マーカーや練習用具の準備をしたら、次はドリンクの準備を1時間くらいで終わらせます。残りの1時間半でビブスやスネ当ての準備をし、さらに次の日の16人分のスタッフの練習着を用意しています。練習後の昼食を終えたら、次の日の準備に入ります。選手・スタッフの飲み物の準備、籠をシャワールームの所定の位置に運ぶ、夏場は特にですが、製氷機だけでは追いつかない氷のストックをすることも、すべては僕の仕事です。選手やチームのことを考えると自然とやりたい作業が増えるので、今後も自分のできる仕事を増やしていきたいと思います」
-やりがいを感じることは?
勝利を選手と分かち合う瞬間
「地味な仕事が多い中で、試合で選手が得点を決めてくれるとやっぱり嬉しいです。試合前のハイタッチ、勝利した後、グラウンドにて選手・スタッフみんなで祝福する時は、『日々の努力が報われた』と思います。関東圏のアウェーの試合には帯同させていただくのですが、19時キックオフだと鹿島に戻ってくるのが23時頃。そこからスパイクの手入れをするので、日付が変わるのは当たり前です。業務が集中し、辛い時もありますが、選手が結果を出してくれるので、さらに試合に集中できる環境作りをサポートしていきたいと思います」
-高校生に伝えたいことは?
-つでもこだわりを持ってほしい
「何事にもこだわりを持つことは重要だと思います。去年よりフロントに行かれた長石さんは、マネージャーという仕事にこだわりを持って、20年以上もアントラーズを支えてこられました。僕もこの仕事を始めてから、スパイクのケアの仕方、服の畳み方、スネ当ての置き方など、こだわりが増えてきました。こだわりを持つということは、考えるということです。それをとことん追求すれば、いずれは自分の強みになります。高校生のみなさんも、一つでもこだわりを見つけて3年間のうちに伸ばしていってほしいと思います」
ある日のスケジュール
6:30 | 出社 |
7:00 | グラウンドの準備 (ドリンク・ビブス・スタッフウェア等) |
10:00~12:00 | チーム練習 |
12:30~13:30 | スタッフゲーム、昼食 |
14:00 | 翌日の用具、ウェア、ドリンクの用意 |
19:00 | 帰宅 |
喜びの1ページ
「今までで一番キレイ」と言ってもらえたこと
「僕は血液型がB型ということもあって、用具の並べ方や、ウェアのたたみ方に、自分なりのルールというか、こだわりがあるんです。籠に1日分、一人一人の練習着を組むのですが、チームドクターの山藤(崇)先生がいらっしゃったときに『今までで一番スタッフのウェアがキレイだったよ』って言われて、『やった!』と思いましたね。すごく嬉しかったです」